学習法

伸びる子と伸びない子(追記;私と将棋との縁)

1月まで勤務していた会社で、子供将棋名人戦の運営に関わる機会を得てから、時折夜中にネット将棋を指すようになった。
最初はポータルサイトの無料ゲームを利用していたが、日本将棋連盟が後援している「道場」に戦いの場を移した。ポータルサイトの方が時間制限が緩くて気楽なのだが、明らかに負けとわかったときに投了せず、無言で通信を切るプレイヤーが多いのにちょっと嫌気がさしたのだ。
昨年、谷川浩司永世名人のインタビューをさせていただいた時、「『負けました』と頭を下げられない子は強くなれません」という言葉に強く感銘を受けた。
子供はなかなか「負けました」とか「ごめんなさい」と素直に言えないものだ。その気持ちはよくわかる。でも悔しさをこらえて、「負けました。ありがとうございました」と声に出したところから、「次こそは負けないぞ」という反省と闘志がわき出てくる。
「所詮は暇つぶしのゲーム」と言われればその通りだが、「負けました」も言わずに立ち去るのはマナー違反だし、勝った方も気分がよくない。
同じことが塾の子供たちを見ていてもいえる。
テストで失敗したとき、「死んだ~」「終わった~」とぼやき、死んだ仲間同士でおしゃべりを始める子や、すぐに答案をしまい込んでしまう子は、なかなか成績が伸びない。一方、負けを負けと認め、すぐに解き直しを始める子や悔し涙を流す子、「なんでこんなばかなミスをしたんだろ!」と自分を責める子は、必ずといっていいほど成績が伸びる。
いま参戦している道場は、チャットで感想戦をすることも棋譜を再現しながら自分で復習することもできる。会心の勝利を得たときも、「勝ったからうれしい」だけでなく、その棋譜を再現しながら喜びをかみしめるのは最高に気分がいい。
「悔しい」「うれしい」という気持ちを素直に受け止め、「次こそは」「次もまた」と振り返ることこそが、学習の基本なのだと思う。(日本経済新聞掲載のコラムを一部修正)

将棋との出会いとその後の経緯   (どうでもいい話)

小学生のころ、父親に将棋を教わったが、せいぜい月に1~2度で、近くに友人がいなかったため、古本屋で『近代将棋』の古本(1冊10円とかだったと思う)を買ってきて、一人で棋譜並べをしていた記憶がある。
それから40年以上、将棋との関わりは途絶えていたが、上記のような経緯でときどきネット将棋を指すようになった。ただ夜中に、仕事が終わってから、酒を飲みつつ指すために、ネットの早指し将棋にはついていけない。
そこでまず『将棋世界』の定期購読を始め、「昇段コース」といういまどき往復ハガキで応募するクイズに挑戦を始め、2年で3段まで上がった(あと少しで4段なのだが、半年近くサボっている)。そのかわりに『将棋ウォーズ』に参戦し、つい先日2級に昇級した。
ただ、参戦といっても週に数局。一番の楽しみはAbema で藤井五冠の対局を観ること。藤井五冠の棋譜集はすべて持っている。つまり専ら「観る将」というわけだ。
なぜあまり対局しないのかというと、・・たぶん負けるのがいやだからだ。子どもか、お前は・・。

 

ABOUT ME
kurotama
元進学塾教師。今年の1月末に健康上の理由で円満退職し、いまは原稿執筆など、在宅でできる仕事をボチボチと始めています。